Gabon Matin -ガボンマタン-

青年海外協力隊2018年1次隊ガボン隊員のリレーブログ

【2018年度1次隊:ガボン】第二号報告書(感染症・エイズ対策)

 

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おひさしぶりです。

エイズ対策のむーみんです。

ガボンには、HIV専門外来診療センターが各州に最低一つ(全部で10施設: 首都に3施設、他の州には各1施設ずつ)あるのですが、そのうちの一つである首都のンケンボ外来診療センターで働いています。

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何を書こうか迷ったのですが、第二号報告書をそのまま載せてしまおうと思います(笑)

 

青年海外協力隊の任期中に、全5回報告書を提出することが義務付けられていますが、今回公開する第2号報告書は赴任後6ヶ月目に提出する必要があり、主に活動の報告性を示すことを目的としています。

字数や項目など制限があり、隊次により変更される可能性がありますが、私は2018年度1次隊のバージョンで記載しています。

 

それでは、以下長いので、ご興味ある方がいれば参考にしていただければと思います。

ではでは~

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◆報告書要約(制限:800字)

本来であれば、赴任後6ヶ月目に提出すべき本報告書の提出が遅れたことを、お詫び申し上げます。後述(項目3)のように、配属5ヶ月目に私とお局看護師との揉め事が、医院長や他部署まで巻き込む大騒動に発展し、8人もの職員が処分を受ける異例の事態に至ってしまい、配属6ヶ月目には通常の半分以下の人員で医療課の業務を遂行しなければならず、活動計画に関する協議ができる状態ではありませんでした。しかしこの騒動をきっかけに、医院長含む大半の職員の方々が、本当に優しく接してくれ、怒声が飛び交う中でも私のことを守ってくださり、感謝の気持ちでいっぱいです。処分を受けることになった職員との関係性は、年末は最悪でしたが、徐々に修復し、むしろ以前よりも本音で話合えるようになったのはよかったです。また、働かない職員に対して不満があっても、その人が職を失えば、その人の家族が病院や学校に行けなかったり、家賃や食費、交通費が払えなくなるかもしれないということまで考え、不満を口に出さないというガボンの文化を知ることができました。他方、私が仕事量の配分が不公平なことを口にしてしまったことに関しては、「それは事実だ」と認めてくれたうえ、働かない職員を陥れようとして発言したわけではないということもわかってもらえ、ガボンと日本との違いを理解し合えたのは良かったです。
 今月に入り、ようやく通常運営に近づき落ち着きを取り戻してきたため、医院長や新しく変わったカウンターパートと協議を始めることができました。医院長の強い要望があり、患者統計の質向上と電子カルテの使用定着をセンターでの2大目標として掲げることにしました。センター外での活動としては、他保健隊員と協力し、ピアエデュケーター活動の活性化を図ろうと試みております。医院長がその活動にも興味を示し始めたので、今後も話し合いを続け、連携の可能性を探っていきたいです。

 

◆項目1:活動計画の説明(制限:500字。以下同じ)

 患者統計はガボンの保健政策・予算策定のために重要な資料であるが、質が低い(例:月に約12件結核患者がいるのにも関わらず、年間1件しか集計されていない)ことが約10年間課題であり、PNLIST(性感染症プログラム)関係者も医院長も頭を悩ませている。そのため毎月提出する患者統計の質向上を目標1として設定した。また、仏赤十字の支援が終了してから、電子カルテの使用が途絶えているが、PNLISTが医院長へ再開を強く要請しているため、電子カルテの使用定着を目標2として設定した。しかし停電があるため、電子カルテへの完全移行は難しく、再開するとなると紙カルテとの併用となり職員の負担が増加するうえ、電子カルテデータの統計利用ができるのかどうかも不明であるため、要検討である。さらに、配属当初より性感染症や若年妊娠の予防のため、10人の保健隊員でピアエデュケーター活動の活性化を図ろうと尽力しており、目標3に設定した。医院長にも半年間報告し続けていたが、本報告書策定時に初めてCTAでもピアエデュケーター活動の再開をしてほしいと要望があった。今後も医院長と協議を続けていく。

 

◆項目2:活動計画策定に向けた配属先との意見交換

 配属当初より、患者指導の質向上のため臨床心理課で勤務したいと伝えてきたが、最初の3ヶ月は、忙しいからと時間をとってもらえなかった。前任者の時代に草の根資金協力のスキームを使って薬局を増設した経緯があり、医院長は2代目の私のことを、救急治療室を増設するための駒としか考えておらず、波風立てずに医療課か薬局で勤務していて欲しいという本音が伝わってきた。しかしエイズデーで私が発表した患者統計を、保健省UNFPA等の国連機関のトップから高く評価していただいたおかげで、少しずつ信頼してもらえるようになり、ようやく話し合いができるようになってきた。現段階では、相対的に見れば良い仕事をしている臨床心理課ではなく、課題の多い医療課の業務を改善して欲しいという医院長の意思を確認することができた。優秀な医師や職員たちからも日々の仕事ぶりを評価してもらえ、患者統計や電子カルテの使用に関し中心的な存在として認識してもらったうえで、活発な意見交換ができるようになった。また、他保健隊員とパイロット校でのピアエデュケーター育成に向けて活動を進めているが、医院長次第でCTAとの連携も可能かもしれない。

 

◆項目3:配属先の動向

 

 配属5ヶ月目の12月末、私と医療課のお局看護師との揉め事が、医院長や他部署を巻き込む大騒動に発展し、8人もが2週間から2ヶ月間の謹慎処分を受け、そのうち数人のボーナスカットされるガボンでは異例の事態に至ってしまった。
ただしこの騒動をきっかけに、働かない看護師や医療課職員に対し、医院長や医師、その他優秀な職員たちが長年嫌悪感を抱いていたということがわかった。また、年功序列が根強く、若者が少ない医療課のなかで、一番年下の私は研修生と同等の扱いを受け、発言力はほぼなくこき使われてきた。しかし、医院長や医師、その他優秀な職員たちからは私の仕事の能力を認めてもらえていたおかげで、ボランティアの存在意義を全体会議で周知してもらうことができた。
職員が一斉に謹慎処分となったため1月は多忙であったが、徐々に処分期間が終わり、通常運営に近い状態になり負担が軽減してきた。この一件でかなり嫌な思いをしたが、お互いの考えを言い合ったおかげで、職員たちとの距離が縮まったのは良かった。また、自分が思っていた以上に、職員の信頼を得られていたのだとわかったのも良かった。カウンターパートも変えてもらうことができた。

 

◆項目4:受け入れ国の人々との交流

 

 配属先の職員は、大半が30-50代であり、「娘」「妹」などと可愛がってもらっている。フランス語や現地語を教わったり、教会のミサに招待してもらったり、ダンスを教えてもらっている。同世代の研修生たちとは、ホームパーティーに招待し合ったり、恋愛の話で盛り上がったり、仕事の悩みを相談し合ったりする。ピアエデュケーターの子たちは、一緒に啓発活動をしたり研修に参加したり、将来の夢を共有できる貴重な仲間であるうえ、休日も浜辺で一緒に過ごしている。月に数回お手伝いをしている孤児院では、人身売買や虐待などで保護された子どもたちの無邪気な笑顔に、逆に癒やされている。
 通行人や市場の商人からは、「中国人」「白人」とからかわれることがよくあり、「白い肌=金持ち」というイメージがありぼったくられることもある。ガボン人のなかには高校で日本の経済発展や原爆投下の歴史について学び、テレビでもよく日本の番組を視るという方もいるが、西アフリカからの移民が多いタクシー運転手に聞くと、「頭がいい」「発展している」といった肯定的ではあるものの漠然としたイメージしかない印象である。教育レベルや情報アクセスの差を感じる。

◆項目5:任国事情・広報活動など

【日本と受入国との違い】

 1月7日午前、首都リーブルビルでクーデター未遂事件があった。早朝から銃声が聞こえ、一時ネット回線も遮断されたが、数時間後には首謀者らが逮捕・射殺され、暴動が起こることもなく終息した。しかし50年以上に渡る親権政治への根深い不満に加え、10月半ばに脳卒中で倒れ現在も療養中である大統領の容態を不安視する国民が多いことは事実であり、不安定な情勢は続きそうだ。

今回の件で、毎日平和に過ごせるということが、いかに幸せなことかと実感した。そして、なぜ日本はいま平和を保てているのか、考えるきっかけにもなった。ここには書ききれないが、「人間の安全保障」の観点を軸に、国・世界が危険に転じるリスクを下げる必要があると感じた。

【広報活動】

天皇誕生日レセプションにてインタビュー対応(12/1ガボンテレビにて放映)

世界エイズデーにてインタビュー対応(ガボンラジオ、今後放映予定)及びUNAIDSのfacebookにて写真掲載(12/1)

・国際ボランティアデーでの様子を放映(12/5ガボンテレビ)

・ピアエデュケーター養成研修参加時の様子がネットニュースに掲載(12/28)

 

◆JICAへの要望や提案

歴代の所長や、調整員、専門家の方々に本当によくしていただき、慣れない環境の中でも安心して楽しく過ごすことができています。また、経験が少なくボランティアという立場で派遣させていただいているのにも関わらず、手厚い制度・手当を整えてくださり、心から感謝しております。